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2009/03/17(火)
本当に「フィリピンでは暮らせない」?
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カルデロン・のり子さんの件。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009031402000070.html
メディアの報道が総じてこの一家に同情的なのに対し、ネット上では「パスポートの偽造は犯罪」「フィリピンに帰れ」と厳しい意見が相次いでいます。強制退去処分の是非についてはここでは触れませんが、ひとつだけ気になったことがあるので書いておきます。
彼ら一家が日本在留を求めた理由のひとつに、のり子さんが「生まれてから日本を出たことがなく、日本語しか話せず、タガログ語(フィリピンの公用語)は全く話せない」ことを挙げていましたが、本当でしょうか。
だとするとのり子さんは両親と100%日本語で意思疎通していることになりますが、両親はフィリピン生まれフィリピン育ちで、来日したときは二十歳前後です。来日前に日本語を学んだとしても、それはあくまでも第二言語であり、母語ではありません。両親が母語を一切使わずに、第二言語だけで子どもを育てることが可能とは考えにくいのです。
例えば日本人同士の夫婦が米国で子どもをもうけたとき、日本語を一切使わずに英語だけで子どもを育てることが、果たして可能でしょうか。
カルデロン家に話を戻すと、のり子さんを「日本語しか話さず、タガログ語は一切解さない」ようにするには、父子・母子間のみならず、夫婦間の会話さえ日本語にしなければなりません。そこまで徹底して両親の母語を家庭から排除するという不自然なことがこのフィリピン人夫婦にできたのか、非常に疑問です。
そう考えると、「のり子さんが日本語しか解さない」というカルデロン家の主張は、日本滞在を認めさせるための嘘ではないかと思わずにはいられません。試しに囲み取材のときにでも、誰かしれっと彼女にタガログ語で話しかけてみればどうでしょう。意外とすらすら答えるかもしれませんよ。
しかし、のり子さんが本当に日本語しか解さないとしても、13歳から第二言語を学ぶことは十分できます。何より最も身近な両親がタガログ語のネイティブスピーカーなのですから。
そもそも、日本への入国が不法であれ合法であれ、のり子さんが両親の出身地であるフィリピンをいずれ(旅行にせよ永住にせよ)訪れる可能性は高いのですから、その時に備えて彼女がタガログ語を多少話せるように教育しておくのが両親の義務というものです。それをしていないのは怠慢であり、にもかかわらず現時点でのり子さんが日本語しか話せないからといって「フィリピンで生活できない」と言い張られても賛同はできません。
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