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2007/08/25(土)
倉敷にがおえエレジー 題22回
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酒と女とニガオエ、そして・・
中国に「酒悲」という言葉がある。酒に悲しみを紛らそうとして、かえって酒で悲しみを倍加させる意である。無論、中国に限らず人のいるところ必ず葛藤と悲哀があり、酒のあるところには又必ず歓喜とそれに相反する悲しみがあるはずだ。大道絵師も常に理想と現実のギャップ、みたさんとして満たし得ぬ不満。その上、似顔絵を描くのだから神経疲労の振幅はげしく酒に救いを求めることになる。我欲に捕われていたのでは大道ニガオエ師としての感情が、かせられる試練の異常さに耐えかねるのだ。でついつい度をこえて酒を飲む。すでに酒を楽しんでいるのではなく、酒を恨みつつ飲んでいるのである。酔えば酔中に命絶えることを願い、死んだ方がましだと思うから無茶をやらかす。酒癖はますます悪くなる。いたる所で顰蹙を買う。人に嫌われるというデカダンスが沁みわたっていて、自嘲的に成りきることによって己を誤魔化しているのかもしれない。己自身、酒との格闘を記憶のスクリーンにプレイバックするならば醜悪、恥辱に充ちた泥酔など枚拳にいとまがない。悔恨と慙愧の砂塵の嵐が心の中を吹き荒ぶのだ。
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