美観地区から大道絵師のメッセージです。
箱の中でいくら立派な芸術活動しょうと、学ぼうと何等、この病的社会には不毛である。
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2007/04/09(月) ホームレス画家のホームレス訪問記E
車から降りてタバコに火を点けた。そしてフト「松島とも子」の「ホームレスさん、こんにちわ」という本を思い出していた。 それは具体的には、松島トモ子がとことん脳天気だということだ。
びっくりするぐらい脳天気だ。
「ホームレスさんこんにちは」という書名は、よくもここまでぴったりのものを付けたと思う。
でもその脳天気さが鼻につくようなことはない。
少女のまま大人になってしまった松島トモ子だからこそ、ここまでホームレスの人々の懐に飛び込んで話を聞くことができたのだろう。
松島トモ子だからこそ、相手が警戒心を抱かない、松島トモ子だからこそ、相手に対して特別な感情を抱かないのではないか(それが良いことか悪いことかは別問題)。

ホームレスの人々は、成功者ではない。
だから、苦労話を笑い飛ばしながら、明るい希望だけを語るようなことはない。
過去のよかった時期を述懐しながら、現状に対する諦観、未来に対する漠然としながら明確な形の不安。
ともすれば、読んだ後で落ち込んでしまいそうなのに、なぜか落ち込まないで済む。
それはひとえに、松島トモ子の脳天気さ故のものだろう。

一級建築士の資格を持つ元公務員のホームレスの言葉で印象に残るものがあった。
松島トモ子の
「(ホームレス同士が身の上話はしないというのを受けて)お互いに慰め合ったり、愚痴をこぼしたりするのかと思ったわ」
という言葉に対する、
「皆、ここへ来るまでにさんざん辛い目に遭ってますからね。苦い涙がまんまんと満ちたグラスにそれ以上つぎ足したら、溢れてただではすまなくなるのを知っているんですよ。優しさは哀しみの裏返しでね。ここにいれば人間の業のすべてを見られますよ」
という返答だ。

この言葉に限らず、いろいろな人が、いろいろな場所で、哀しみの数と優しさは正比例するといったことを表現してきている。昔はよく、こういう言葉に偽善臭を感じて、生理的な嫌悪感を覚えていたのだが、最近はなんだか理解できるようになってきた。
でも、強い依存心の裏返しのものも、時には優しさに見えてしまったり、あるいは自分でもそう信じ込んでしまうことがあるので気を付けよう。とはいえ、哀しみが多く、深い分だけ、それが優しさに昇華されると思えば、いろんなことを我慢できるかなぁと思った。


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