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2007/04/13(金)
ホームレス画家のホームレス訪問記 H
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JR大阪城口駅方向に行くにしたがって青テントも貧弱なものが多くなってくる。中には「養生シート」と呼ばれる上だけテントを張ったものもある。 やはりここも力の世界が働いているのであろう。
「あっ、エカキの兄さんやおまへんか?」 出し抜けに後ろから声をかけて来たのはサブ爺さんだ。相変わらず目玉の大きいのをますます大きくしてリャカーをほったらかして駆け寄って来た。 「ヤアー」 「やっぱ、村田のおやっさんと一緒だっか?」 村田さんというのは韓国人で、震災でお子さんを亡くされてから、個人でームレスのボランティア活動している人である。
「今日は違うねん。ホラ、ジャニーズの「嵐」の公演があるやろ。それで来ましたやん」 「ああ、そうだっか」
このサブ爺は芸能界のことは良く知っている。あの三田佳子の劇団で貴重なコメディアンであったのだが、三田の息子が大麻事件で劇団を解散、ホームレスになったわけである。サブちゃんと呼ばれるのも昔、有名なコメディアン坊屋三郎に似ているところから付けられたらしい。
「わてもその公演チケットを手にいれるため三度も並ばれされましたわ」
だいたいホームレスの仕事はアルミ缶集め、早朝、自転車などでゴミの回収所を巡回する。相場は一キロ当たり百円前後らしい。 リサイクル業、ゴミ捨て場や電車内で入手した雑誌など拾い、安く売ったり、技術のある者はビデオやテレビを修理して売る。 並び屋、こういう「嵐」の公演などのチケット、有名事件の裁判の傍聴券など。他に花火、花見などの場所取りなどがあるらしい。
「ところでサブさん。お孫さんを連れたおじさんは元気ですか?」 「ああ、頑オヤジか。子供が良く稼ぐので毎日、将棋ばかりしとおるわ・・」
頑おじさんとは岡山、楢橋出で孫が学校嫌いで休んではここにくる。教育委員会が来てもこう言ってのける人である。
「学校など行く必要ない。やたらに知恵を付けられ、小利巧になるように教育を押し付ける。負けてはならない。勝たなければならない、と見栄や優越感を叩き込む。人を押しのけろ。騙せ、人を信じるなと諭させる。肩書きをつけろ、財産を持て、偉くなれと吹き込まれる。そのあげくが三菱自動車や日本ハム、森永牛乳みたいになるのよ。我々さえ森永や日本ハムは喰とらんよ。ワハハハハハ・・・」
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