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2007/04/11(水)
ホームレス画家のホームレス訪問記7
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橋の中ほどで壕に向かって何やらわめいている男がおる。野球棒をアミダにかぶり、赤いTシャツに縞模様の入ったズボン。その足元には紙ぶくろが三つほどおかれており、典型的なホームレススタイルである。
「おじさん、どうしたの?」 「・・・・・・・・・・・」
振り向いた男は何か不思議なものを見るように俺のつま先から頭まで見て、何等関係なさそうにまた壕に向かってわめき始めた。夢中で遊んでいた子供がフイに声をかけられ、「迷惑な奴」という風情である。
彼らの多くは会話や理屈、手垢のついた愛など必要としていない。人間と人間の棲む世界の不合理をいやというほど味わってきているから・・・・
人の世は何処まで行っても不合理なのだ。 かりに合理が存在していても彼らという生物が 「不合理」に出来ているからどうしょうもないのである。
ここを通る通勤、通学人もこういう光景には馴れているのであろう。みな足早に通り過ぎていく。携帯電話に何かわめきながらである・・・
大阪城ホールの前には派手なコスチュームを着た若い娘達があちこちにタムロしているのは、大人が作り出した「嵐」というジャニーズ系の公演がここで今日あるからである。彼女らは九州、東京、はては北海道からも来ているのであるが、他に夢がないのだろうか。 ホール前の噴水広場前ではどうも「嵐」ファンとは異質の若者が大勢集まっておる。気になったのでその中の一人に聞いてみると「嵐」公演のサポートをするアルバイトだそうだ。
総務省の発表によるとこうして高校や大学を出た若者が就職せず、遊んでいるいる若者が80万人以上いると言う。
一般の人はホームレスが増える以前から彼等は経済、道徳崩壊の予兆をとっくの昔に体感していたのであろうか。何故なら彼等は高校受験、大学受験の時、彼等の進路指導の担任教師が全く何の熱意もみせず、ひたすらとにかく無事高校、大学を卒業し、どこでも良いから就職してほしいという教師や親の本音が見えたとき、きっと彼等は真面目に就職して働くことの無意味さを悟ったのではないか?実際、学校卒業時点で就職することがどのくらい困難で、屈辱的な体験にもなりうるか、この時期、年齢の若者と無縁な日本人の多くは全く知らないことがホームレスの増殖より、俺は空恐ろく感じる・・・・・
いい学校、いい就職、いい結婚、いい子供、いい家庭、そしていいお墓か。
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