美観地区から大道絵師のメッセージです。
箱の中でいくら立派な芸術活動しょうと、学ぼうと何等、この病的社会には不毛である。
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2007年3月
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2007/03/10(土) 40年前の美観地区日記より。 六十九回
 所が「縁あれば千里」という如く、一寸した事で知り合っていた作家・玉川しんめい氏に原稿のコピーを送っていた所、返事が来たのだ。

「面白く読みました。貴君の書いたのは面白半分や趣味的な発想からではない。一人の人間がある時期、何かひたむきに信じ、闇の中の灯かりの様なものを求めて、旅して歩いたという過程の物語に感動したのです。四月初めにそちらにまいりますので、もう少し発酵させ陽の目を見せる事に致しましょう。」とおっしゃるのだ。

 人間と言うのは何処でどうなるか分かったものではないが、氏と最初に出会ったのは十数年前の富山市で、早稲田大学演劇部のOBがやっている茶店「ボロ」であった。

 その頃の俺はドサ廻りの真最中で相方はオランダのヤン君と初枝ちゃんであり、「人間ウオッチング」だと称しては食堂や喫茶店に入る時は俺一人が先に入り、バカなパーフォマンスを演じて皆から顰蹙を買う頃、ヤンと初枝ちゃんが入り人の顔を伺うみたいな事をして喜んでいたのだ。そんな客の中に作家・玉川しんめい氏が居たわけである。しかし、驚いたのは俺の方で氏が「評伝・辻潤」の著者であると共に、俺も又、ダダイズムにのめり込んでいた時期であったのだ。


 余談だがダダイズムとはトリスタン・ツアラーがスイスで始めた芸術運動だが、第一次大戦後、文学、美術、演劇に強烈なる影響を与え、各国に燃え広がり、日本では大正九年「ダダとは未来の放棄である」と「万朝報」に紹介されたのを嚆矢とする。

 ダダの先覚者・辻潤。小説家の竹林夢想庵、前衛詩人の高橋新吉。又、この岡山出身のダダ新聞を発行していた吉行エイスケ等々が有名であるが彼等はソシアリト、デカダン、ニヒリスト、アナーキスト、コスモポリタン等と一般に呼ばれたように、あらゆるものを包容し、否定していたものと思う。

 とくに加えたいのは辻潤をもって全訳されたマックス・スチルナーの「唯一者とその所有」である。
 その所有とは自我教であり「汝は汝の汝に生きよ」とか「万物は俺にとって無だ」であり、辻にとって唯一者とは仏教でいう即心即仏であって白痴浄土と解し、あらゆる虚偽的な外片が皆、剥奪され、一見何も身につけていないルンペン状態にならなければ駄目であって、刹那を最も充実した生命的欲求におき、虚無において、そこから生まれる創造を発露しょうとした訳である。


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