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2007/02/21(水)
40年前の美観地区日記より。 五十二回
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それは今から十二・三年前、蝉が俺のタンカにおとらず威勢よく鳴いていた暑い日の事である。 ご婦人六人、お子さん十数人を描かせ、気前よくお金を払う御仁がおり、始めはは町内会の会長、あるいは中小企業の社長。イヤ、濃い眉毛に筋肉質の引き締まった身体よりヤーさん関係ではと疑心暗鬼していると、何と全てが自分の家族だ、とおっしゃるのだから驚いた眼が点になーる。 その点でよくよく御仁を観察して見ると、彼は一夫多妻のチェンマイ族か、ソロモン王、はたまたある動物のハーレムを想起した。
「千夜一夜物語」によるとバクダッドの宮廷には十二のハーレムがあり、そこに三百六十人の側室が住んで、王は一夜づつ回ったらしい。
それに較べれば雲泥の差かも知れないが、この御仁も一週間のうち六夜を回るわけで体力的、経済的にも大変だろうと察する。 まして彼は皇帝でも王様でもなく、いっかいの土建業者であって、いわんや日本では刑法で重婚罪に問われるはずである。 その点、御仁は本妻を配偶者にし、ほかの五人は同居人の形をとって、子供だけは高瀬姓の私生児として認知していると言う。 つまり雑居家族の形態を取っておられるのだ。
「注意」 一夫多妻 ★.一人の男が大勢の女を妻として、自分の邸内に住まわせる。
『金瓶梅』 大金持ちの薬屋・西門慶は、正妻から第六夫人までを邸内に住まわせ、さらに女中や人妻にも手をつけていた。妻妾たちは相互に同盟関係を結んだり、対立したりする。西門慶が第六夫人李瓶児との間にもうけた息子は、第五夫人潘金蓮の飼い猫にひっかかれ、それがもとで死ぬ。李瓶児は怒りと悲しみで、まもなく病没する。西門慶も、潘金蓮に媚薬を多量に飲まされたため、おびただしい精液を排出し、三十三歳で死ぬ。
『源氏物語』「少女」〜「初音」 光源氏は三十五歳の八月に、故六条御息所の旧邸および隣接する敷地、あわせて四町を占める広大な六条院を完成させ、紫の上・明石の君・花散里とともに住んだ(*六条御息所の娘・梅壺中宮も、六条院内に住んだ)。翌年正月元日の夜は、光源氏は明石の君のもとで過ごした。彼はまた、旧邸二条東院に、空蝉・末摘花を住まわせた。
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