美観地区から大道絵師のメッセージです。
箱の中でいくら立派な芸術活動しょうと、学ぼうと何等、この病的社会には不毛である。
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2007/02/14(水) 40年前の美観地区日記より。 四十六回
 彼は東京・日野出身で新選組副長・土方歳三と同じ石田村である。
 現在尚、土方家の子孫は「石田散薬」という打ち身の薬を製造販売しており、とくに土用の丑の頃になると、河原に自生する朝顔に似た草を村中総動員で刈り取るのだそうだ。

 宮ちゃんはその草にトゲがあって、それが嫌さというより村人のトゲに耐えられなくなって東京の美術学校に脱出、金のないパターンで似顔絵を描き始めるのである。
 厭人癖に取り付かれた男が似顔絵を描くのも奇妙な話だが、彼は常に似顔絵描き連中と付き合おうとはしなかった。

 俺が彼を始めて知ったのは京都・祇園祭りの時で夜、皆で本能寺の縁側で寝るのだが、彼一人離れて寝ているのだ。

 「皆と一緒にどうして寝ないか?」俺が問うと「やまあらしシレンマ・・・」まさにミミズが腹痛をおこしたような哀れな声で呟くのである・・・・・

 「山嵐ジレンマ」とは哲人・ショウペンハウエルの寓話であって、山嵐にトゲがあるゆえ、寒い時、お互い身体を暖めようとすれば傷が付く。ではといって離れすぎると寒い、そこで傷つけず、離れすぎずという距離を人間の生き方に普遍したことだが、こういう人を喰ったような事ばかり話するので皆に疎まれるのかも知れない。

 しかし、彼にすれば己の内部や精神を、さらに言えば人間的嫌悪まで偽って、人と付き合ったりする行為が欠落しているのである。結果、人と争わず喰うとすれば打ち込みするしかないのだろう。

 それからの彼は誰にも束縛されず、束縛せず、ただ天意と腹加減にまかせ、白い雲のようにフワフワと漂う生活を続けているという事である。
 ときには悪酔いしたサラリーマンに唾を吐きかけられ「お前らは俺達が働いているから、生きられるのだ!」と絡んでくると「俺たちがいるから世の中が面白いのだ」と開き直る図太さを身につけて来る。

 それでは少々極論になるかも知れないが、宮ちゃんの意見を聞いてやろうじゃないか。


写真は宮ちゃんと同じ村の土方蔵三・・・


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