美観地区から大道絵師のメッセージです。
箱の中でいくら立派な芸術活動しょうと、学ぼうと何等、この病的社会には不毛である。
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2007/11/29(木) 倉敷にがおえエレジー 題89回
昭和三十五年は騒然と明けた。

一月十九日、日米安保条約が自民党だけで単独可決。民主主義の危機が叫ばれ、全国各地で数百万人規模の政治ストが行われたのだ。
現・科学技術長官・江田五月氏は当時東大生で氏も自民党総裁室に雪崩れ込んでいる。そうした状況を国民に隠弊する為にも池田内閣は国民所得倍増計画を策定し、効率だけを追及する大規模な工事を乱立させるのだ。結果、都市への人口集中がおこり、農山村の過疎化が進行、人々は虚構の「豊かさ」に向かって走らされるのである。

 だいたい効率の追求とは無駄なものを省き、切り捨てる思想の事である。人間でいえば世間から爪弾きされた者。社会的に順応出来ない者。社会からドロップアウトさせられた者等々だが、この時代より「人間の利便」を追及するという大儀名文を基に圧倒的多数の人間が、人間として一番大事なモノを置き去りにし、熱したフライパンの上で踊りまくるのだ。

 たしかにこの頃より国民的映画「フーテンの寅」が放映され始めたと思うが、山田洋次監督は真に人間的だからこそ置き去りにされ、小さな真実を守り抜こうとするから大きな状況から疎外されてしまう。そのように社会からドロップアウトする「ダメ」人間の「寅」こそ真に人間的な輝きがあり、ドロップアウトさせた側の方が反人間的なのではないかと云う逆説の形をした痛烈な主張に人々は共感を覚えるのであろう。

 「富」と引き換えに「働きアリ」と化した人々はそんな中で眼に見えぬ何かが、人と人との通いあうようなモノを少しずつ浸食し、奪い去ろうとしている事に不安の中に気ずき始める。

 前回のファーブルの「昆虫記」によれば、あの「働きアリ」でさえ良く観察して見ると働いているのは全体の八割だという。そこで良く働くアリばかりを集めて見ると二割が働かなくなり、その反対に怠けアリばかり集めてみると八割が働き出すという。

生きとし生きる者はこの様にして、上手くバランスを取って生命体を確保していると言うのがファーブル氏の結論である。


 すればだ。また人間も昔から乞食や放浪者、あるいは身障者等を運命共同体として、保護し、あるいは神の分身として敬う事さえあったものと頷ける。それは諸国漂泊の彼等は、土着と沈殿を繰り返す人々に取っては年に一度か二度、ハレの日に姿を見せる来訪神であり、呪事と祝事を携えてさまよう異人であったと言ってもいいだろう。


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