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2007/11/10(土)
倉敷にがおえエレジー 題82回
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昭和二十五年に勃発した朝鮮戦争は、日本に取って重大な意味を持つ事件だった。他人の不幸で漁夫の利を得た結果になったが、この戦争から受けた利益は膨大でこれが日本の再建に注ぎ込まれ、少なくとも物質的な面では太平洋戦争という愚行に突入する前に近い状態に戻ることが出来たのだ。 それは金ヘンであり、糸ヘンであったのだが、やはり大道似顔絵師の先輩の話だが、パンパンガール経済と共に大いに似顔絵師も寄与したというのだ。
これは少々極論になるかも知れないが、確かに全国進駐軍の来た所では彼等から相当金せしめただろう。とくに横須賀や佐世保の軍港では、似顔絵長屋がズラッと並び、街灯も点灯し毎日祭りみたいな騒ぎだったと言う。
ところが翌々年、国民自ら選んだものでない日米安保条約が発効。三日後には血のメーデー事件。「破防法」いわゆる治安維持法、特高の悪夢が又、再現されるのだ。 余談になるが我国の民衆史のパイオニアである八切止夫史観によれば、古墳時代における我国の人口の九割は奴隷だったという。奴隷は妻帯が許されず(賎ズリという言葉の語源はここにあるとか)奴隷頭に出世した者だけが子孫を残す事を許された。即ち奴隷頭とは、仲間の奴隷達を裏切って鞭打たれる側から鞭打つ側に回った連中の事である。要するに日本人民衆のほとんどは、裏切り者の子孫であり、その内なる奴隷根性は二千年のプロセスをえて形成されたという訳だ。
八切止夫はこれを自らの戦争体験をもとにして「天皇バンザイ」で中国へ出征した日本兵達が捕虜となるや「毛沢東バンザイ」を、シベリアに抑留されると「スターリンバンザイ」を唱え、帰還したとたんに「マッカーサーバンザイ」を唱えるという、その徹底した節操のなさ、プライドのなさこそ、古代奴隷制が如何に強力だったかを証明していると言うのだ。 これが事実ならマッカーサーに「日本人の精神年齢は十二だ」と言われても仕方なかろう。
しかし、俺は「自らの意思でドロップアウトして、自主独立へ脱出した自由人もいたのだ」という夢と希望の歴史観を持ちたいし、描きたいのだ。
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