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2007/10/02(火)
倉敷にがおえエレジー 題56回
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酒屋から帰ってくると熊ちゃんの前に赤い傘が一輪咲いておる。一ヶ月に一度は熊ちゃんに似顔絵を描かせる看護学生だ。 相変わらず鼻穴から描き初めており、それは熊ちゃんにすれば絵の人物もまず呼吸させてやる論理だそうである。
さきほどのスケッチブックを何気なく見るとダルマ絵の上に「所作を用いるに無心にして所作自ずから沸き立つ・・・云々」と書いてある。盤桂禅師の禅機だ。 俺は酒のせいもあるが急に頭に血がのぼり、看護学生に向かって強い口調で言い放った・・・ 「君はどうして彼ばかり描かして、俺に描かせてくれないのか?」 「酔っ払いは、一時の発狂です!」とピタゴラスで反撃できたもんだ。 「何!発狂?俺の絵は頭から生まれる。身体なんぞは借家同然だ。だいたい酒というものは精神の飢餓が求めるものである。君が酒を飲まないのは精神か飢餓状態にないか、あるいは心の飢えに気ずかないのだ。WHO「世界保健機関」によると世界で毎日千人が自殺し、未遂を入れると一万人。日本でも毎日八十人が自殺、その三倍゛未遂という現状でる。そこを救っているのが酒なのだ!」一気加勢に言葉を投げつけてやった。すると「アナタのは詭弁よ、しょせん、男のヒステリーで抑圧された性欲と反動だわ・・」と背負いなげだ。可愛いいナースの言葉ゆえ、俺は殴りつけられた様な気持ちがした。
たしかに最近の俺は女に縁がない。旅していたときは女に秋波送られ、誘惑された事もある。彼女らは性欲強く持て余していたのかも知れず、欲情の激しい女は男なしでは居られないのだろうと思った。 そこで自分を満足させてくれる情事の対象を探すが、イザとなると女には以外に難しい面がある。会社や知り合いでは一寸具合が悪い。 街で拾ったイナせな男は最初はおとなしく紳士的でも、一皮むくとヤクザになる事もある。面白くって後くされのないのは放浪エカキと言うことになるのであろう。 しかし、この岡山に腰を落ち着けたトタン女の肌からほど遠くなるのだが、何でも俳優の殿山泰司薯「日本女地図」では岡山女の貞操観念の堅いこと石のごとしと書かれている。その理由としてここは人口密度に較べて女学校が多く、そこへキリスト教などでキャンキャンで手のほどこし様がないのだそうだ。 胴長で色黒、陰毛は短く縮れており、体位は松葉くずししか喜ばぬ・・・・もう、ここまでくれば誹謗以外何物でもない。 川西町の飲み屋の女傑などは「何、言ってるジャー、女は昔、太陽だったァ。その殿山と言う男が来たらホーデンを噛みきってやる!」と変な平塚雷鳥ばりのタンカである。
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