美観地区から大道絵師のメッセージです。
箱の中でいくら立派な芸術活動しょうと、学ぼうと何等、この病的社会には不毛である。
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2007年1月
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2007/01/11(木) 40年前の美観地区日記より。 十五回
 なんでもショウペンハウエルの動機説によると、俺みたいなつむじ曲がりの男が時々震動するのもやっばり虫の精だそうだ。
 虫といえば啓蟄と言って虫や草が冬眠から醒めて活動を始める日のことで、この頃になると俺はソワソワし始める。それに昨夜は死に写真の婆さんと坊主の肖像画を描き、なんとも言い難い気分にもなっていた。
 夜の明けるのも待ちきれず薬局に飛び込み鎮痛剤ハイゲレランを求め、十錠ほどウイスキーで胃に流しこんだ。「現在の非ピリン系は駄目です」しばらくすると身体が揺れ、心が揺れ、いつの間にか俺自身も倉敷行きの汽車に揺られていた・・ ・・ 


 倉敷商店街では喫茶店のガラスに映る己が姿に微笑し、会釈する余裕も出てきた。
 出てきたといえば美観地区はすごい人出で、倉敷川の川辺に並ぶ土蔵群や白壁の商家に感嘆の声をあげておる。それはそうだう。牢獄の管理システムから生まれた団地やマンションに馴染むのは家ダニぐらいで、所詮人は馴染めないのである。それゆえここには慰撫されるものがまだ残っているのだ。それにも増して観光客を慰撫するのは迎える人達の姿勢である。酔言を吐けば道端に並んでいるアクセサリーの若者は客の喜ぶ顔を見たい一心で良い作品を作り、美術館の館員は芸術鑑賞を心いくまで味わえるよう気を使い、喫茶ウエダは美味しいコーヒを飲ませようと余念なく、塚村酒店の老刀自は酒飲みの健康を案じ、誓願寺の住職はお経をあげるたびに泣く。彼等は自分の仕事に誇りを持ち、他人の仕事を尊び信じあっているように見える。一人一人がカレーの市民のように見えるのだ。


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