美観地区から大道絵師のメッセージです。
箱の中でいくら立派な芸術活動しょうと、学ぼうと何等、この病的社会には不毛である。
ホームページ最新月全表示|携帯へURLを送る(i-modevodafoneEZweb

2006年7月
前の月 次の月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
最新の絵日記ダイジェスト
2010/05/12 大阪で昆布屋
2010/04/15 000000000
2010/03/08 次回は油絵を・・・・・
2010/03/04 浅田真央ちゃん
2010/03/02 遅くな諒としてください

直接移動: 20105 4 3 2 1 月  200912 11 8 1 月  200810 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200712 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 月  200612 11 10 9 8 7 6 5 4 3 月 

2006/07/08(土) 大阪市立美術研究所・雑感 40
 私は今の社会を救うのは芸術の役目も一つだと思っている。
 かんたんにいえば、「芸術」というのは、自己中心的で閉鎖的で独善的な芸術家が見せてくれたり聞かせてくれたりするもの。受け入れる側も、プライベートな状況で、あるいは、そのための特別の施設(ハコ=美術館やコンサートホール)の内部で感覚的ないしは精神的な快楽を鑑賞/享受するというもの。一方、「アート」は「人の中に入り、人と関わるもの」、「新たな価値観や世界観との出会い」を通じて「地域を活性化」させる「コミュニケーションのツール」であり、「触発的で、双方向的な」「開かれたコミュニケーションそのもの」でありたいと願う。
 私によれば、「アート」は、「見て楽しい」だけではない。アートには、人やまちを生かす広く深い力がある。「人を幸せにし、癒し、元気づけてくれ」、「人の精神世界の多様さ・おもしろさを示してくれる」アートは、わたしたちの「エネルギーの素」であり、生きる元気を回復してくれるものである。したがって、アートを鑑賞中心のものから、参加・交流型の「アートプロジェクト」へと進化させ、このプロジェクトを、社会とアートのインターフェイスとして活性化させることで、文化的に多様で豊かな社会を形成することが可能になるというわけだ。
 芸術を社会化(市民化)することで、地域共同体の「生活の質の向上」させるという、このどこかで聞いたようなプラン(文化庁の文化立国21プランとか、アーツプラン21?)は、とりあえずの「政策」としては悪くはない。ある面ではこの考え方も正しいし、じっさい「アート」の意味を行政側が理解して「芸術文化」支援が充実してくれば、この業界も潤うのはたしかだからだ。皮肉な言い方を止めて言えば、筆者が指摘している今後の課題(アートの理解と支援の継続のための公正で効率的なシステムの整備、プロジェクトの企画調整を行うコーディネータ不足の解消)への取り組みは、現実問題として、まず優先されるべきだと思う。こんな事を言っても不言実行でなければならない。
 ところが居られたのだ。
 大阪美術研究所卒の岩本かずえさんである。彼女は生まれも育ちも堺であり。あちこち回ってスケッチを重ねていくうちに、この街には本当にいろいろな魅力があるなって再発見したらしい。日本で最初の自由都市として黄金の日々を謳歌した堺市だが、これからは観光都市としての一面も全国的にアピールしていければいいと、現在は「堺のチンチン電車を愛する会」の幹事をしておられ、入会してくれた方に、彼女の描いた絵はがきを送るなど、彼女のできる範囲で活動しておられる。それが縁で「なにか面白い車体デザインの案ありませんか」って話があって、それなら思い切り堺の街を描かせてもらうといって。千利休の屋敷跡にある椿の井戸や堺HAMONOミュージアム、フェニックス通りなどを描いておられる。次は堺の祭りの風景やだんじりを描くらしい。そこから「未来へつなぐチンチン電車」が契機になって口コミやなんやかやで大勢の人が集まり、展覧会や堺を歩く会など発足して、それから海外に井戸を掘る資金など送っておられるらしい。
 人間というものは、ただ一個で存在する場合は畜類と代わりがない。こうして繋がりという人間関係での存在として、初めて人間として成立するというのは仏家が見つけだした、この世の機敏であろう。それを坊主も芸術家も忘れておいでで、一個人の女性がされているのに敬意を表する者である。
 岩本氏には次回の市長選に是非出ていただきたいものだ。

1948 大阪府堺市生まれ
1978 第46回独立展初入選 以後、毎年出品
     全関西美術展 受賞6回
1980 大阪市立美術研究所 修了
     第34回堺市展市長賞
1981 日伯現在美術展('83)
1989 堺市展審査員('91,'92)
1992 シャンパン大賞展 佳作賞
1995 安井賞 入選
     大阪市立美術館「友の会」講師
1997 浅井忠大賞展 入選
1998 青木繁記念大賞展 奨励賞

画像は岩本氏の作品「祈り」


 Copyright ©2003 FC2 Inc. All Rights Reserved.