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2006/05/08(月)
彼と我々とどちらが人間らしいのか?
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彼は瀬戸内海の岩国の人で漁師だったそうである。ところが岩国では東洋紡の工場が進出してきて汚染源のため、海の魚がすべて死滅したというのである。そこで東洋紡が死滅した魚を買い上げることに話がついたらしい。 それから毎日、漁船が帰ってくると、工場のトラックが待っている。魚種ごとに魚の目方をはかったあと、工場にはこび、タンクに汚染魚を捨てる。悪臭を放つ魚に、市場値の金が払われる。 はじめのうちは、取れば取るほど金になるので、精を出して出漁する人もいた。が、やがて漁師たちの疑いがふくらんでくる。毎日、海に出るのは、捨てるための魚を取るためではない。金になりさえすればよいと、いつまでも割り切れるものではない。たとえささやかでも、自分の仕事に何らかの意味がなくては生きていけない。 「何のための人生か。漁民だっておいしい魚を食べてほしいのだ」「情けのうて涙が出ます」と言い、そこを飛び出してこういうホームレスをしいるのだ。 しかし、船員保険があるので何とかやっていけるが、もう一度、おいしい魚を取りたいと、とおっしゃっていた人だ。
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