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2006/01/05(木)
好きなままで長く
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“若い僕らはいつも時間を持て余してる”
…たぶん、そうなんでしょう。 深夜の盛岡をみんなで徘徊しながら、ボンヤリそんなことを想っていました。
終わりが見えない、悪ふざけと照れ隠し。 いつかの、どこかでの、ループとデジャヴ。 みんなとの、そんな空間が私は大好き。
また、一緒に時間を消耗しましょう。
日付が変わって今日。
睡魔に飲み込まれながら乗った盛岡発東北本線。 向かいの窓から差し込んでくる光。 時間は14:30 微かに揺るんだ空気。 この時間独特の空気。 一面の雪景色も、午後の日差しに反射して、まるで水面のようにキラキラと輝く。 電車の中は、あったかそうなセーターに包まれたおじいちゃんとおばあちゃん。 福袋を嬉しそうに抱えた家族連れ。 学ランに、赤い頬した高校生。 そして眠気瞼の私。
……次の駅。あの駅。
今時珍しい、木造建てのあの駅。 あの、ホームのはじっこの待合室。
笑えない、キオク。
好きで好きで仕方がなかったあの人と、あの待合室でふたりきり、向かい合って座って。 まともに話も出来なくて、彼の顔なんて直視出来るわけもなく。 斜め上の窓の縁ばかり見ていた。
静寂が、怖かった。
彼と私は正反対の電車で、彼の方が先に来て、私はひとりホームに残った。 ため息を吐きながら、ゆっくりと空を見上げた。
あの時も冬だった。
あの頃よくコッソリとくり返し読んでいたのが、銀色夏生のこんな詩だった。
なぜ、二人で一緒に並んでいて ひとこと好きと言えないのだろう このすっきりしなさはなんだろう なんでなんでと思うことばかり こわれそうなものをいつもあてにして ダメになりそうなものにいつも安心する
“こわれそうなものを”
お昼過ぎの電車は、一瞬あの駅のホームに停車して、また動き出した。 停車している間、私は瞳を閉じて、ソコを見ないようにした。 そもそも窓の外は、眩しくて何も見えなかったんだけれど。
10代の恋愛は、何もわからない分、勢いで大部分がカバーされ、そして助けられていたんだなぁ…と、今にして思う。
ぷっ。
なんか偉そうに書いてしまったけれど、“恋愛感情での好き”を本当に感じていたのは、私の中で彼だけだったから。 …だから、私はまだまだ恋愛のれの字も知らない。 きっと、これからなんだよね。
大好きでした。
※これが岩手のつららだぁ!
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